今年は RPG な andorid アプリを気長に作っており、
色々と試行錯誤を繰り返しているわけで、発見も色々とあるわけで…。
そんなわけで、今、すごく分かりかけてきた気がする、のでゲーム性とは何なのか? ということを僭越ながら書いてみます。
まず先に結論から言うと「不安とヒントの絶妙なバランス」的な話です。テトリスが分かりやすいっすね、
あれは7種類のブロックがランダム(無作為)に落ちて・く~る~ (You は Shock!!!) なゲームですが、
上手に隙間なく並べていくというアクション・パズルの不朽の名作です。
あれ、落ちてくるブロックの順序に規則性がないんですよね。
四角の次には棒が来る、みたいな決まりごとがない。
それに7種類しかないから、特定のブロックがずっと来ないということはありえないですね。
基本、どれが降ってきてもいいように作っていきますが、運(+落下速度)次第で徐々に破綻していく…。
「今、四角いやつが落ちてきたらおしまいや」というときに四角ブロックが落ちてくるかどうかは運次第なわけです。
けれども、NEXT バッターズサークルがあるんですよね、次に落ちてくるブロックの種類だけは事前に教えてくれるという…。
もし、ネクストがわからないテトリスがあったらつまらん、と思うんですよね。
考えなきゃいけなないことが一気に減るから、「指先に神経を集中させながら運任せ」なゲームになります。
実際、ネクストの分からないテトリスがあったとしたら、次の落下物を高確率で予想的中させる能力がない限り、すぐに手詰まりになるでしょう。
逆にネクスト、ネクスト、と次の次まで分かったら
「確率論的にベストな置き方」というものが発生するでしょう。
ただし、これにたどりつくには物凄く色々考えないといけないので、2手先、3手先を常に読むという将棋的な集中力が必要となります。
物凄く色々考える=ゲームとしてつまらない、ということは決してないのですが、
素早く考えて的確に動かす、というアクション要素があることを考慮すると、物凄く色々考えさせたらダメです。煩雑すぎるから。
それにテトリスの場合、ネクストが分かるくらいのヒントがあれば、
少なくとも落下速度が遅いときは無難に凌げます。
どんなパターンで落下してこようが、(難易度の高い低いのムラはあるものの)処理できるようになっています、おそらく。
だから、結局のところ「ミスを重ねること」が命取りになるので、
落下速度が増してくる中でいかにミスをしないで処理し続けられるか、というゲーム性になっています。
余談が長くなりましたが、「不安とヒントの絶妙なバランス」ということですわ。
私はゲームの制作において「ドルアーガの塔」を参考にランダム・マップ(自動生成の迷路)を生成するプログラムを作りました。
と、いってもテクニカルな部分はネット上にあるやつをいただいただけですが。
そして、このランダム・マップをどう楽しむか、という試行錯誤の過程でいろいろ見えてきたわけですよ。
①ランダム・マップの作成とキャラクターの移動(宝箱が何個か置かれているので、それを探す)
②ランダム・マップの地図を表示できるように
③地図は最初は見えず、地図の入った宝箱をとると地図が表示されるように
④地図の入った宝箱の座標とキャラクターの現在位置を示す座標を表示
⑤座標関係の表示を撤廃して、最寄りの宝箱の方向を示す羅針盤を表示
⑥羅針盤は2番目に近い宝箱にも影響を受けてフラフラと針がばらつくような演出を加味
2Dか3Dか? ということは本質的には関係なく、どちらの場合でも同様の結論となるはずですが、
今回は2D見下ろし型(ファミコン・ドラクエ的)です。
まず①の状態ですが、テスト的な意味合いも含めてランダム・ダンジョンを歩きまわりました。
かったり~、というのが本音でぜんぜん面白くない。
なぜかというと、根気さえあれば迷路を制覇して全ての宝箱を見つけることはできるからです。
根気さえあればできることを、めんどくせえ、という気分と戦いながら続けるのは作業です、お仕事感がはんぱねえ。
これではテストにならんということで、迷路の地図をずばっと表示するようにしました。
これが、②の状態です。迷路が意図したとおりに作れていることと、毎回違うものができあがることは確認できましたが、
地図を見ながらキャラクターを動かしても、やっぱり面白くない。
なぜかというと、全部見えているからです。
テトリスでいうなら、30手先までブロックの種類が分かっているようなもの。
麻雀でいうなら、相手の手を見たうえでリーチに振り込まないように牌を切るようなもの。
面白くない。
まとめると、根気(だけ)が要求されること、分かりきっていることはつまらない。
「うまいことやったら、どうにかなるんじゃね?」と思わせる要素(たとえ錯覚だとしても)がなければ、つまらない。
「こうすれば絶対100% うまくいきます」→「はい、そうですか、やってください」→「はい、やります、成功しました」、
ではつまらない。
人は面倒なことが嫌いだけど、スリルを求めているのよ。
だから、③の状態に変えてみます。地図の入った宝箱にたどりつくまでは徒手空拳、ノーヒントです。
…宝箱にたどりつくまでが、かったるい…。
④の状態、現在座標と目標座標が分かるようにしてみると、少しだけ
迷路を探索しているような気になりますが、
やはり、左端の列にいて2ブロック下に宝箱がある、みたいな状態では「まる見え」ではないものの、ほぼ見えているようなもの。
興はそがれます。
⑤の状態。コンパス、羅針盤といっても真面目に北を指すようなアレではなくて、
ジャック・スパロウが持っているような「その者が欲しがっている物の方向を示す」的なやつです
(余談ですが、これを実装する為に三角関数だとか、余弦定理だとかを勉強してつらかった、
しかも最終的に英語圏のサイトで書かれていたアークコサインの利用例みたいなやつをダメもとで参考にしたら成功という、
ネットで欲しい情報を探そうとしても近いものは見つかってもそのものズバリはなかなか見つからんということね! 知ってたけど)。
これで、だいぶ迷路を彷徨っている感はでてきました。
右下を指していても迷路なので素直に→↓という具合に進めるとは限りません。迂回したり、ぐるっとまわったり…。
でも、ノーヒントで探すよりは遥かに見つかりやすい、ただちょっと見つかりやすすぎるような…。
⑥に改造。今度は最寄りの宝箱の方向を基本的に指すんですが、二番目に近い宝箱の方にも針が振れるので、
針の動き的には現実世界のコンパスの動きに近くなり、リアル感が増しました。
それに迂回している途中で最寄りの宝箱が入れ替わったりすると、けっこうはちゃめちゃになるので遊びがあって面白い。
これでも、ノーヒントで探すよりはかなり見つけやすい。
針が→を指して右に壁があった場合、上に行くか下に行くかはプレイヤーの勘しだいです、自由度です自由度。
この辺の不透明性の振り幅が重要だと思われます。
「不安」の部分はランダム・マップで、しかもどの辺にいるのかも分からない、というところで演出しています。
「ヒント」の部分はコンパスの針の方向で、だいたいアッチに向かえばいいよ、というところで演出しています。
パチンコのリーチ演出なども近いところはありますね。
当たるときは、いろいろな予告や保留変化、チャンスアップなどが絡みますが、これらはヒントの側面です。
「当たるかもしれないからね、注目するなら今ですよ」っていうヒントですね。
しかし、確定演出という「絶対当たる(一応公式には99.9%くらい)」演出が絡まなければ、いくら賑やかでもお祭りさわぎでもハズレの
場合がある。だから、「いける? いけんのか? いけよ! 赤・赤・赤・赤…うわ、青やんか」と顔面蒼白になるわけです。
これは不安の側面です。
不安と期待をアップダウンさせながら、最終的な運命のジャッジタイムに向けて列車は進んでいく…。
結局のところ、アメとムチみたいな話なのかなあ。
人の心を御するには、結局は、アメとムチ!