今回は漫画メインです。 前回の記事を読んでからの方が、楽しめるかと思います。
とりあえず、設定の説明ね。 主人公は一般市民のチャレンジャーとして、テレビ番組にゲスト出演しています。 番組の中の企画の一つで、「3つのドアから高級車を選べ」があります。 主人公は目の前にある3つのドアから好きなものを選ぶことができる。カーテンが開いた向こうに 自動車が置いてあればラッキー。高級車をゲットです。 単純な運任せのゲームだと思いますよね? ところが…
さあ、ここでワンポイント来ましたね。 なんと司会者のモンティは主人公が選んでいない残り2つのうち、1つのドアをオープンしました。 主人公は「間違いない、いまモンティがハズしたのは必然!」と考えていますが、 そりゃそうですよね。このタイミングでモンティが正解のドアをオープンしてしまったら、 (みんなが思っているよりも)ずっと早いタイミングでのチャレンジ失敗が確定します。 探偵が真犯人の推理を披露している途中に、誰かが横から「つまり犯人は○○だな」って言ったときには、盛り下がること確実です。 番組を見ている視聴者は、あっけに取られ、番組のプロデューサーは「何やっているモンティ! 番組を潰す気か!」と、激怒することでしょう。
ちなみにモンティが「どれがハズレか知った上で、ハズレのドアを選ぶ」というのは モンティホール問題の大前提です。 この部分を正しく認識できるかどうかが非常に重要です。 漫画なので色々と脚色していますが、どうかご容赦ください。
なぜ、2番から1番のドアへ変更した方が正解率が2/3にアップするのかは、 前回の記事を読んで納得してもらうとして、 今回、メインの議題にしたいのは「司会者モンティがチャレンジャーをペテンにかけることは可能なのか?」です。
漫画では主人公は「何がベストな解なのか?」を導き出したのに、それを実行できなかった 心の弱さを描いていますが、まあ理屈どおりにドアチェンジするのが最適解です。 最適解を選べば、2/3という高確率で正解できますし、 司会者モンティがどんな甘言を放ってこようが、どんな態度を見せてこようが、徹底的に無視して理論通りの選択をすればいいだけの話です。 司会者モンティはマリリン・ボス・サバント女史の導いたロジックに完全敗北するしかないのです。
…
… … …
…本当にそうだろうか?
だから、組み合わせの総当たりでも、確率論の計算でも、コンピューターを用いたシミュレーションでも 実証されているじゃないか。ドアチェンジで正解率2/3だっつうの!
いや、やはりダメだ。 あなたはモンティの本当の恐ろしさを分かっていない。
分からない奴だな。何年も前に決着の着いた話だぜ。
あらゆる事象、あらゆる選択が無作為に行われているのか検証する必要がある。
そんなことは分かっているぜ。
じゃあ、聞こう。最初に3つあるドアから1つを選んだとき、 どうやって選びましたか?
どうって? ただの山勘ですけど、何か?
要するにサイコロを振って出目で決めたとか、コンピューターの疑似乱数プログラムを利用してランダムに決めたとか、 そういうことではないんですね?
まあ、そこまではしていないですよ。だけど、テキトーに気分で選んだだけですよ。
あなた、2番を最初に選びましたよね? 2番とは中央のドアだ。 その10分前、あなた番組の映像を見ましたよね。 大型バスにトラックがぶつかるやつと、海上のボートに突然サメが襲いかかってくるやつ。
見ましたけど? クイズコーナーの映像だから。
大型バスには左側からトラックがぶつかりました。ボートを襲ったサメも同じく左側から現れました。 左側は怖い、左側は不吉。そんな印象を植え付けられても不思議はない。 あなた、無意識のうちに左側、つまり1番のドアですね。1番を避けるように誘導されていたんじゃないですか? 2番を選んだのは偶然だとしても、2番か3番のどちらかを選ぶように番組サイドは仕向けてきたんじゃないでしょうか?
…、おそるべし、モンティホール。 もし、番組側の巧みな誘導によってチャレンジャーが3つのドアから正解を選ぶ確率が1/2に引き上げられたとしたら…。 この場合、ドアチェンジしてもしなくても正解率は1/2、つまり、理論は破綻してしまう! そこまで考える必要があるのかって、思うけど。