2015年6月28日日曜日

第73話 勝算

福本先生っぽい表題の付け方を今月はしてみましたが、それもこれが最後。 最強伝説黒沢の第73話が「勝算」。 マジパクリ、しかし、書かねばならなかった、どこかで…。 戦う以上、向き合わなければならない。 避けては通れない…勝敗と言う名の命運、裁き、結末…。 この勝負、勝てるのかっていう肝心な部分。 Android ゲームアプリ競争における、個人デベロッパーの「勝算」について真剣に考えてみたい。

勝ちの目は限りなく薄い
まるで薄氷を歩くかのよう

競馬ではマイペースな差し馬とか、ラスト付近まで脚を残す追い込み馬もあるが、 ボートレースではだいたい第1コーナーを曲がったくらいで大勢が決まる。 最初に一位をキープした艇がそのまま逃げ切るパターンが圧倒的。 これは、Android アプリの走り方と似ている。 リリースしてから最初の1カ月(新着扱いになる期間)を、競艇で言うところの「第1コーナー」と考えるのだ。

最初の1カ月で高順位に付けたなら、その後の展開も恵まれたものになりやすい。 逆に最初の1カ月でもたついてしまうようなら、そこからの巻き返しは厳しい。 いかに他の競合を振り切って高順位に付けるか、そこにはアプリの質を越えたテクニック、もっとあざとく言えば宣伝費が 必要となる。

DL数評価点メーカーその他のアイテム数
1100k*3.9*SQUARE ENIX Co.,Ltd.57
2100k*3.1*GameOn Co.,Ltd.8
3100k*3.8*SQUARE ENIX Co.,Ltd.57
4100k*3.9*Voltage, Inc.86
5100k*2.7*Sammy Networks Co.,Ltd.14
6100k*4.0*Goodia Inc.249
710,000k*4.4*King8
8100k*3.2*Gala Japan Inc.0
950k*4.8*tokyogame0
10100k*4.0*Hero Bubble Shooter0

新着無料で上位の10位。どうも、ある特定のアプリを運営する為だけに新規デベロッパー名義を立ち上げるというやり口があるみたいですね。 8~10位はバリバリの会社組織なのに処女作経営となっています。 あまり面白味が無いので、次は51位~60位を見てみましょう。

DL数評価点メーカーその他のアイテム数
51100k*3.8*JOYCITY Corp.4
525k*3.5*Cybergate Technology Ltd.85
535k*4.7*SpiriteK Inc.1
54100k*3.7*NHN PlayArt17
55100k*4.1*LUNOSOFT INC.11
565k*2.4*LINE Corporation66
571,000k*4.6*Miniclip.com32
585k*4.4*ArtDigic4
595k*3.9*DeNA Co., Ltd.62
601k*4.2*ESC-APE by SEEC6

星の評価点ってあんまり関係ないのかな~。と、思えてくる。ただ、それだけ。 やはり企業臭がプンプンしております。 次はだいぶん下の方までいっちゃいますよお。

DL数評価点メーカーその他のアイテム数
411100**Benesse Corporation29
412100*5.0*App-Si5
41310k*3.9*Tapinator, Inc.115
4141k*4.4*JOYCITY Corp.4
415100*5.0*Kazuya Maeda6
41650k*3.9*Titan Game Productions27
417100*5.0*pinbit8
418100k*4.4*Ketchapp31
41910k*4.3*Orizon Entertainment8
4201k*4.4*Escapegamez99

「注目すべきは411位のベネッセである」
「ベ、ベネッセってあの…?」
「ああ、あのベネッセだ。赤ペン先生の」
「大企業なのにあまりパッとしないね。過去に29作も作っているわりには」
「そこだ、その点に着目したい。おろらく、していない…売るための対策…宣伝…」
「あまりアプリに力をいれていないってこと?」
「いや、作成に関しては力を入れているだろう。業種的にもスマホとの連携は避けられぬ道だし」
「だけど、欧米の英語アプリ並。日本の個人作家並のポジションにいるけど…」
「要するにこれがネイキッドってことだ。ベネッセの質が低いのではなく、アプリ屋さんたちの狡猾な売り込みが凄すぎるということ」
「Android に適したプロモーションをしなければ、大企業が作ったアプリでも埋もれる…?」
「埋もれる。間違いなく。土俵にすら立てねえってことになりかねない」

逆に、売り方を心得ているのなら、作ればいい。湯水のごとく。セルフコピーを繰り返して似たようなものを、 低労力で量産し続ける。これはこれで、勝ちのシステムを築いたやり方。

分からない、要領のいい売り方など。 そのノウハウがないのだ。 それでも、考えるとしたら、やはり新着の1カ月。 この第1コーナーを曲がるまでにどれだけダウンロードを稼げるかが全て。 ただ、広告の力で何とかすると言ったって、例えば500人の日本人ユーザーをカネで獲得しようするならば、 15万~20万円はみとかないといけないだろう。 最低限これくらいは呼び込まないと高順位に付けようがない。 全ゲームの新着無料でベスト100に入るには最低限これくらいは見ておかないといけない。

あとは、もう…。出走の号令がなる前。リリース前に徹底的にアピールしておくという方法しかない。 映画なんかでもそうだが、今○○が製作中である。だとか、ついに○○が完成した。だとか、もうすぐ○○が公開される。だとか、 とにかく公開前にネタをばらまき続けることによって興味をもってもらおうと必死である。 そう、興業作品であれば、公開してから宣伝するなんてバカなことはしない。 もちろん、公開してからも宣伝はするが、公開する前に宣伝しないバカはいないってことだ。

が、ここまで書いて
世の中の情勢が少し変わりそうだ

私が思っている以上にリワード広告によるブーストが日本では幅を利かせていたようだ。 リワード広告によるブーストって何だい? っていうかもしれないが、簡単に言えば 「○○のアプリをDLしてくれれば、人気アプリの課金通貨をプレゼントしちゃいますよ」ということです。 人気アプリとはモンストとかそういうやつですね。

カネの流れとしては、ブーストをかけたい某企業が AppBank あたりにおカネを積んでお願いする。 AppBank では人気アプリの攻略アプリを自社で手掛けており、「○○が無料でもらえるキャンペーン」というものを展開している。 ○○を無料でもらうためには、AppBank が指定したアプリをDLしなくてはならない。 ユーザーは○○を無料でもらうために「何の興味もないすぐにアンインストールするであろう某アプリをダウンロードする」。 こうして、ブーストをかけたい某企業のアプリはたくさ~んDLされる。 DL量に応じてストア(i-Phone とか Google の公式サイト)内での順位がアップする。 ストア内で好位置に付ければ、まったく関係のない第3者的なユーザーからダウンロードしてもらえる可能性が飛躍的にアップする。 これで依頼元の某企業は宣伝効果を得られて上々。 最後に AppBank が Mixiあたりに上納金を渡せば、ブースト周辺の企業集団はみ~んな得をするということになる。

唯一得をしないのは公式ストアの方だ。 言ってみれば、アップルなんかは「うちの庭を荒らしやがってクソ野郎」ということである。 公式ストアのランキング上位が「札束の叩きあい」だけで決まってしまうのであれば、 上位にクソみたいなアプリがランキングすることだって有り得る。 これは長い目で見れば、世間一般のユーザーがアップルやグーグルの公式ストアから離れていくと考えるのが妥当だろう。 やはり面白い物、世間からの評価が高い物が上位に来るのが望ましいハズ。

6月、iOSの「モンスト攻略」から「オーブプレゼント」が消えた。 これはアップルからの要請にしぶしぶアップバンクが応えるということのようだ。 Android版でも同じことが起こるのは時間の問題であろう。 ここにきてリワード広告が粛清されるのであれば、弱小作家にとってはチャンスである。 リワード広告ではなく、通常の一般的なバナー広告(Admobとか)で宣伝すると、 一本ダウンロードしてもらうための費用がぜんぜん違うわけですよ。 少なくとも日本人に宣伝しようとしたら、DL1発を50円や100円では買えない。

この緊急事態を受けて我々に勝機はあるのか? 追い風、それもとてつもない突風…。そうであることを願いたい。

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