2017年1月11日水曜日

アイコスはタール出さない? どこよりも突っ込んで考える

iqos(アイコス)買ってみてえなあ、と思ったら品薄でけっこう大変なんですね。 苦労の末、予約を取ったので手に入れるのは確実、わざわざ有給まで取ってやったですよ。 で、いろいろアイコス周りのことを調べてみると情報が錯そうしていますね。 ちょっと整理の意味も兼ねて、タバコとタールというテーマで執筆いたします。 言っときますけど、私、タールにはちょっと詳しいですからね。

いわゆる普通のタバコの煙にはタールが含まれています。 しかし、常温ではタバコの葉からガスは発生していませんよね? 燃焼したときのガスにタールが含まれます。 タール含有量が激烈に多い、石炭を例にして解説します。 石炭は高温で熱すると黄色いガスを発生します。 この思いっきり体に悪そうな臭いガスが冷えると、黒くてドロドロした脂っこい液状のモノになります。 これがタール(コールタール)です。 正確に言うと、ガスに含まれているタール分が凝縮(気体→液体)されたものです。 タバコに対する風当たりは強くなって分煙化、分煙化と世の潮流が変わっていますが、 職場ではタバコ何千本分なんだろう? っていうタール煙のそばで仕事woさせられることが稀によくあります。 これが現実ですからね、会社のゲートをくぐった先は現代日本ではないどこか別の世界なのです。 WHOもこれはガン無視です(嗜好品ではなく産業だから?)。これが現実です。別にいいんだけど。

タバコの煙も有害で有名ですが、黄色じゃなくて白いですよね。 石炭が黄色い煙なのは、タール分がもの凄く多いからだと思います。 でも、タバコの煙をあびせ続けると壁が茶黄色に変色しますよね。 白い煙ではありますが、その中に含まれるタール成分が薄いから白く見えるだけなのです。

燃やすよりも温度が低い。コレ重要ね

火を付けたタバコの温度は650~850℃らしいです。 石炭に含まれるタールも、タバコに含まれるタールも、(気化温度は大差ないでしょうから) タバコの煙には、タバコの葉が含有しているタールの全量が含まれます。 ちなみにタバコの銘柄に書いてある 5mg とか 8mg ってタールの量なんですね。 今までニコチンの量かと思ってましたわ。 で、まあピースの 24mg くらいがマックスタール? っぽいのですが、タールが多い銘柄の方が パンチが効いた味がします。 ニコチンの量もタール量に比例している、はずです。

アイコスは燃やしませんが、高温で熱します。 ヒートスティックの温度は350℃と言われています。 500℃付近がタールが出やすい温度なので、アイコスを吸ってもタールが出ないっていうのは本当だと思います。 ただ、350℃でタールガスがまったく出ないかと言うと語弊があります。 タールっていうのは約4,000の化学物質の結合体らしいので(数百種類という表記をする人もいます)…。 この4,000の中には350℃で揮発分としてガス化する物質もあるんじゃないですかね? 石炭の乾留が300℃から始まる、と言われているくらいですから。 ここを突っ込むとすごく専門的な話になるし、まあ正直よくわかりませんので 「アイコスでは燃焼することにより発生する有害物質は出ません」 「アイコスでは350℃で気化しない化学物質は発生しません」 これはつまり「タールがほとんど出ません」と、置き換えてもいいと思います。 少なくとも、壁を黄ばんだ色にするタールofタールな物質は発生しないハズです。 石炭を乾留させるとき、単純に温度が高いほど煙が多くなります(揮発分が全量ガス化した後は煙はでません)。 だから、350℃のアイコスと850℃の紙巻タバコで比較すると、圧倒的な差があるのは間違いないです。 もし、アイコスのヒートスティックの温度が150℃とかなら、もっと揮発分の発生を抑えられるのでしょうが、 ニコチン接種とか味わいとかの絡みで「350℃」なのでしょう。

世の中は危険だらけ

あと、ちなみに肉とか魚を焦がすとタンパク質が変性してタールが発生しますからね。 ご家庭で魚を焼いたとき、ごく一部でも焦げてしまった日にはタールが含まれた煙を大気に放散しているわけです。 タバコの煙が悪い、迷惑。これに反論はしませんが、料理をする際にタール煙が発生しているという事実も知識として知っておいてください。 人間は火を使います。 動物は火を本能的に嫌がります。 動物は火を怖がっているのではなく、煙を避けているだけかもしれません。 煙には有害物質が入っていますからね、別にタバコの煙じゃなくても…煙は害。 日本人の寿命が伸びている原因として、「人間が煙から離れるようになった」というのは大きいかもしれません。 暖炉や焚火に当たれば煙を浴びます。灯油や都市ガスストーブなら煙を浴びません。 昔は団地の小型焼却炉でバンバン焼いたり、農家が野焼きしまくったりしていましたが、昨今は大幅に削減です。やはり煙は減っている。 光化学スモッグとかの工場系もそう。 環境設備はずっといいものに進歩したし、そもそも日本から製造業の多くが海外へと移転していった。やはり煙は減っている。 十日恵比須とか行こうものならケムケムしいですよ。 街を歩けばケムケムしかった昭和中期のあの頃と比べたら(知らんけど)、今の街はケムくないですよ。やはり煙は減っている。

ハッキリ言いましょう。 タバコ1箱20本の喫煙で発生する煙と、ジャンプ1冊を焼却炉で燃やす際に出る煙。 どっちがより有害かって? そりゃあ、圧倒的に大量の有機物を含んでいる(重さが違うからね)ジャンプの煙の方が有害ですよ。 タバコの煙なんざ、世間でダダ流しされていた煙の総量から考えたら微々たるものですよ。 ただ、最近は本当に煙レスな世の中になってきてますからね。少なくとも都市部では。タバコに対して厳しくなる世論というものも分かります。

逆に壮大な話。 豊富な地下資源を持ちながら、採掘もろくにできなかった極北の地、グリーンランド。 地球温暖化によって永久凍土が溶けたから、今まで掘れなかった場所が掘れるようになるよ。 これで莫大な石油を新たに産出することができる…。 人間が化石燃料を燃やし、地球温暖化を招いた。それによって、さらなる化石燃料を得る。なんとも皮肉な…。 火も煙も人間の業です。 いかにキレイな正論を言ったって、あなたも文明の益を受けているのではなくって? 火と煙によって作られた文明の益を。

まあ、人間は生きている以上、地球にも地域にも人様にも必ず迷惑をかけますから。 ある程度は業(ごう)に対して寛容になるべきなのです。 タバコがなくても、世の中は発がん性物質だらけ。 合板やネイルからはホルムアルデヒドが、おっと、隣の紳士の整髪料からはグリセリン、この匂いは…鰻(ウナギ)を焼いている匂いだ、逃げろ逃げろ! 疲れる…。都市部では逆に数々の化学物質から距離を置くことなどできないでしょう。 安全な地は人間のいない未開の山林だけです。 神経質になっても生きていけないのです。 も、もちろん、タバコよくない。お互いの気遣いで住みやすい世界にしようという努力、も、忘れてはいけませんが…。

隠れ悪玉 CO

ニコチンはアイコスにも含まれますから、置いておきます。あと、タバコで問題になる有害物質が一酸化炭素です。 確かに650~850℃っていうのは(燃焼にしては)中途半端な温度ですからね、不完全燃焼で生じるCOが出ても不思議ではありません。 ちゃんと燃えれば炭素に酸素が二つ付いて二酸化炭素になりますが、燃え方が中途半端だと炭素に一つしか酸素が結合しません。 一酸化炭素に関しては、アイコスを吸っても発生しないと言い切っていいでしょう(燃焼させないんだから)。これは意外と凄いのでは? 余談ですが、 インターネットを見ていると「タールとはニコチン以外の有害物質の総称」であり「タールには一酸化炭素も含まれる」という記述がよくありますが、 そんなわけあるのかなあ? COがタールに含まれる? そもそもタールの定義が曖昧なんですけどね…。

ヒートスティックの温度350℃、って書きましたが、下記サイト様による実測値だともっと低いようです。 また、アイコスで一酸化炭素が発生する疑惑も書かれています。

ニコチンの分解温度は、247℃ですから、この温度ギリギリまで加熱していることがわかります。しかしながら、200℃を超えて煙草の葉を加熱すると、「蒸し焼」状態になり、CO(一酸化炭素)の発生が多くなるはずです。  ニコチンの融点は、-80℃ですから、100℃以上の温度で加熱すれば、充分ニコチンは煙草の葉から出てくるはずですが、やはり、「火を点けての煙が出る通常喫煙時に近い条件」に設定したのだと推定しています。
iQOS  で、喫煙してみました。
やっぱり実際に手間暇と道具を使って調べた数字じゃないとアテにならないですね…。 ネット情報も鵜呑みにはできません。 しかし、上記サイトも結構前の情報ですからね。 現行で販売されているバージョンでは、ヒートスティックの温度が高めになっているのかもしれません。 一酸化炭素に関しては、アイコスの実物が手に入り次第、実測して紙巻タバコとの比較実験を行う所存です。

じゃあ結局アイコスどうなの? って、思いますけど。 密閉された空間で吸う場合は(喫煙可能な場所であっても)、例えアイコスといえども周囲への十分な配慮が必要となりそうです。 風がビュンビュン吹くような部屋とか屋外なら、気兼ねせずに吸ってもいいような気がするんですけど…、実際はどうなのでしょうか? かつて 受動喫煙に関する講演で講師が「周囲13mに人がいない屋外でならタバコ吸ってもいいよ(そんな状況はまず無いけどな!)」と、言っていましたが、 その理論で行けばアイコスなら「屋外なら3m」くらい…で、ダメですかね?

結局最大のメリットは、自分の部屋とか自分の車の中で、汚れを気にせずに吸うことができる、ってところだったりして。

今回の記事を書いていて、中学や高校の教科書で目にした「ミミズをニコチンの入った水に突っ込む」というグロイ実験写真を思い出しました。 何というか北斗神拳でやられた雑魚敵みたいな=スプラッターなことになっていたと思います。 非常にグロイ結果になるので、最近では保健体育の教育でも見せていないと思いますが、 タバコの健康被害は凄いんだぞ、ダメだぞ、絶対に吸っては! というメッセージなんですね。 でもコレ子供だましもいいところで、水に溶かしたニコチンに毒性があるとしても、喫煙者はそういう方法でニコチンを摂取していない。
①タバコの煙でミミズを殺してくれれば説得力もあるけど、実際タバコの煙じゃ虫も殺せないですね
②マイク・ラッセル氏が約40年前に説いた「ニコチンを求めてタバコを吸い、タールによって死亡する」という見解
③一酸化炭素を摂取する有害性
きちんと科学と結び付けて、物理的に欺瞞のない切り口でタバコの有害性を教えてくれればいいのに、 「ワシ、タバコ吸わんからタバコの有害性を科学的にきちんと説明する必要ないもんね、とにかく体に悪い!」とさじを投げているような態度。 大人がこれをやると子供は不信感を持ち、場合によってはグレます。 タールとは何なのか? ベンゼンやらフェノールとは何なのか? 化学の入り口として、学ぶべきことは教育者の側にもあるのではないでしょうか?

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